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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第10章 ♯07 SceneⅦ(Christmas Calender)
折角のイブの夜は過ぎたが、大切な今日という日を、少しでも長く勇一と一緒に過ごしたいと考えたのだ。
美月が玄関のドアに手をかけたときになって、ずっと部屋の片隅で寝そべっていたポッキーがむくりと起きて、近寄ってきた。ポッキーが何故か引き止めるように、美月のパーカーの裾をくわえ引っ張る。まるで、〝行かないで〟と訴えかけるような黒い丸い瞳が哀しげに見え、美月は微笑みかける。