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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第3章 ☆♯01 SceneⅠ(紫陽花の庭)☆
 そんな中、向こうで実由里が心配そうな顔で〝大丈夫?〟と言いたそうだった。けれど、曲がったことの嫌いな彼女が例の契約の話を耳にすれば、一体、どう思うだろうかと想像すると、たった一人の女友達さえ失ってしまう予感に怯えねばならなかった。
 美月は無意識の中に右頬から顎にかけてゴシゴシとこすっていた。それは、あの男―まもなく彼女の夫となる押口が触れた箇所に他ならなかった。束の間触れられたあの指先の冷たさを思い起こし、美月は思わず身を震わせた。
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