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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第3章 ☆♯01 SceneⅠ(紫陽花の庭)☆
夫を戦争で亡くし、一人息子にも先立たれてしまったと聞いたが、物腰の柔らかな和服の似合う上品な老婦人だった。美月はいつも道端で顔を合わせたときに挨拶をするくらいのものだったけれど、漠然といつか自分も歳を取ったら、こんな風にステキなお婆ちゃんになりたいと思ったものだった。
一人でも孤独さを嘆くよりも、人生をゆったりと愉しみ、生きることを謳歌している―そんな凜とした姿に、心惹かれたのだ。