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第9章 愛と悦楽

ベッドで目覚めた千尋。

『…マスター？』


既に店を開けるため、圭一は出勤していた。千尋をソファーからベッドに移し、テーブルの上には｢不安になったら飲みなさい｣と書き置きがあり、精神安定剤と誘眠剤と水差しがあった。


『ありがとう…』呟いた。


風呂を沸かし、ゆっくり湯舟に浸かり、千尋はこの時、あらためて自分の躯を眺めた。

今まで、自分の躯でありながら見つめることが出来ずにいた千尋だった。


『ほんとに厭らしい躯…こんな躯にしたのはあたしだよね……』

ふと、漏らしたこの言葉に少し｢ドキッ｣とはしたが、フラッシュバックすることもなく、明らかに快方に向かっていることを千尋自ら実感した。