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秘密の香り
第3章 秘密の恋
カウンターに近付くと

圭吾さんが立ち上がり

座りやすいよう
椅子を引いてくれた


ドキッ…


さり気なく
こういうことができるって
素敵だなぁ…


「失礼します…」
控えめにそう言って
軽くお辞儀をして椅子に座る


緊張する…

「えっと、桃香ちゃん…だよね?」
瞬さんが言う

「はい…」

「こちら桃香ちゃん、で…こちらは村田圭吾くん」

瞬さんが私達を互いに紹介してくれた

むらた けいごさん…

やっと苗字がわかった

「沙穂ちゃんのお友達だよね、前に一度お会いした…」

「あ、はい…あの時はどうも…」


緊張と
ドキドキした高揚感で
うまく会話できない…


「桃香ちゃんは甘い物好き?デザートの試作するんだけど、良かったら食べてみて」

「はい…甘い物大好きです!」

つい勢いよく返事をする


クスッと
圭吾さんが笑う

あぁ、恥ずかしすぎる…!


「じゃあ、甘党の二人の為に腕によりをかけて作ってきまーす!」
ふざけた口調で瞬さんが言う

「圭吾、飲み物なんでも好きに飲んでいいから、じゃ!」

そう言い残して、瞬さんはキッチンへ消えてしまった


急にふたりきり…

どうしよ…
何か話さなきゃ…


沈黙なんて
気まずいよ…


焦って
余計にドキドキする…

「桃香ちゃん、何か飲みたいものある?」
圭吾さんが立ち上がり
カウンター内に入る

「お酒とソフトドリンク、どちらがいいかな?」

「えっと…あまりお酒飲めないので…烏龍茶で…」

「烏龍茶ね、かしこまりました」

「お願いします…」

「氷は?入れてもいいかな?」

「はい、大丈夫です」

カラン…
氷の音が響く


烏龍茶が出るまでの
ほんの少しの時間が

とても長く感じた












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