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あなたの面影
第7章 意外な敵
一仁さんの実家は市街地から二十分ほど走った有名な高級住宅地にあった。
「止まって。待ってて」
運転手に告げ、怜香ちゃんがタクシーを降りる。
目で促された私も車を降りた。
お寺の壁のようなものがあり、その先に表札が出ていた。
『名執』
重厚な板材に手彫りでそう記されていた。
えっ……これが一仁さんの実家なのっ!?
個人宅とは思えない規模で、門の向こうには絵に描いたような立派な日本邸宅が鎮座していた。
「うわぁ……」
そんな間の抜けた声しか出せなかった。
気がつくと誇らしげで嫌味のある表情で怜香ちゃんが私の反応を楽しんでいた。
「さ、次はあんたが住んでる部屋に連れていって」
肩にかかる長い髪をそよがせるように手で払い、彼女はタクシーに戻る。
お嬢様然としたそのしぐさも彼女がすると嫌味に見えないほどに絵になっていた。
「止まって。待ってて」
運転手に告げ、怜香ちゃんがタクシーを降りる。
目で促された私も車を降りた。
お寺の壁のようなものがあり、その先に表札が出ていた。
『名執』
重厚な板材に手彫りでそう記されていた。
えっ……これが一仁さんの実家なのっ!?
個人宅とは思えない規模で、門の向こうには絵に描いたような立派な日本邸宅が鎮座していた。
「うわぁ……」
そんな間の抜けた声しか出せなかった。
気がつくと誇らしげで嫌味のある表情で怜香ちゃんが私の反応を楽しんでいた。
「さ、次はあんたが住んでる部屋に連れていって」
肩にかかる長い髪をそよがせるように手で払い、彼女はタクシーに戻る。
お嬢様然としたそのしぐさも彼女がすると嫌味に見えないほどに絵になっていた。