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あなたの面影
第9章 危険な罠
ピアスの男はテーブルに置いてあった小さいが鋭利なナイフを手に持ち、カチャカチャと音をたてながら手で弄び始める。

「まあ座れよ、おばさん」

低くて気味の悪い声だった。

「結構です。すぐ帰りますんで」

脚が震えていたけど毅然と言い返した。

「もういいから!! お金貸さないなら帰ってくんない!!」

表情が固くなった玲香ちゃんは苛立ったように私に怒鳴る。
けれどこのままこの子だけ置いて帰るわけにはいかない。

「お兄さんも心配してる。早く帰ろう?」

焦っているのを圧し殺して優しく促す。
その瞬間坊主頭がテーブルを蹴り上げた。
大きな物音を立ててテーブルが軽く浮く。
情けないことに私は恐怖でビクッと震えてしまっていた。


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