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あなたの面影
第11章 『あなた』
聡志は憂いを帯びた眼差しで前を向いて歩いていた。
わざと視線を合わせてくれないということは鈍感な私だってわかる。


「じゃあ、ここで……」

駅につくと聡志は呟いた。

「うん。頑張ってね。今度は聡志が気に入ってた動物園行こうか!! 最近新しくなったんだよ」

でも気付かない振りしてわざと明るい声を出した。

「あ、うん……俺、仕事忙しいから……」
「休みの日くらいあるでしょ!! もうっ三年も待たせた罪滅ぼしっていう気持ちくらいないわけ?」

わざと聡志が断れない理由を明るい声で言った。
卑怯な女。自分でもそう思う。

新しいアドレスと電話番号を聞いて、私は聡志と別れた。

何度も振り向いて別れを惜しむのは縁起でもない気がして、真っ直ぐに立ち去った。


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