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あなたの面影
第11章 『あなた』
「元気ないね?」
「そんなことないですよ?」
「また隠そうとしたな? 俺にはわかるんだから。下手に隠そうとするなよ?」

心配してくれてるのが声でわかる。
一仁さんにはなにも隠し事はしたくない。
けど……

「ううん……なんでもないよ」

聡志のことは言えなかった……

「……今から行ってお仕置きしようか?」
「馬鹿……」

一仁さんの話術はまるで魔法だ。
電話で話してるうちに私はいつの間にか笑顔にさせられていった。
ほんのひとときだけ、聡志のことを忘れさせてくれた。
そして私が笑ったことに一仁さんは安心してくれたみたいだった。

「何があったのかはわからないけどさ」

一仁さんは突然声色を変えて言った。
「なんでも一人で抱えるなよ……俺のこと、頼ってくれていいんだからな?」
「うん…………ありがと」


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