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《番犬》が女に戻るとき...
第8章 手段は選ばない
「だってこの女が俺に蹴りを…」
「まぁ俺らもビビったけどな。まさか本当に助けにきたつもりとは」
初めに脇腹を蹴られた男も加わり、苦しそうに咳き込む茜を囲んで見下ろしていた。
女が助けに来るというこの展開は予想していなかったので、彼等も彼等で動揺している。
「思い出した」
「あ?何をだ?」
「お前は聞いたことないか?《凰鳴の番犬女》」
「はっ、番犬!? なんだよそのネーミングセンス!!」
男たちは五人そろって大笑いだ。
「…カハ…ッ」
床に手をつく茜の顔は悔しそうだ。
「──…!!」
そして、隣の梗子も同じ表情をしている──
梗子は男達をきっと睨み付けた。
「茜ちゃんは番犬なんかじゃない!」
「……っ…は?」
「…もういいでしょう…ッ?
私たちを帰してください…!!」
彼女はその美しい顔を悲しげに崩して、涙をこらえて訴えた。
それを見た彼等は少しだけ沈黙し
「…何もせず帰すのも勿体ねぇよな」
当初の計画も忘れた様子で、いやらしい目付きで梗子の身体を舐めるように見回した。