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《番犬》が女に戻るとき...
第10章 見舞い
「許容範囲つきか……」
大げさに残念がる。
その範囲狭そう…。
湯が沸いたので、零は茶葉を入れたコップにそれを注いで熱いうちに彼女のもとに運んできた。
「…でも、そうか」
硝子テーブルの上に置く。
「もし同じことが起きた時は、ちゃんと俺を頼る…ってことだよね」
「…同じこと…か」
茜がコップを持つと、ゆらゆらあがる湯気が顔にかかって温かい。
「──同じことは、また起きるだろうな」
彼女に非憎げな笑みが浮かぶ。
「私の《影》を、お前は知らないと思うが…」
「……影?」
男に恨まれる事ばっかりしてきたんだ
別にそれを悔やむ気など甚だ無いけれど…。
「青崎校の男とやりあったのも、今回が初めてじゃない」
《凰鳴の番犬女》
確かにやつらはそう言った。
青崎校で、私のことが知れ渡っている証拠──。