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《番犬》が女に戻るとき...
第2章 宝物
教室を出た茜はどこか一人になれる場所を探して歩いていた。
だが一口に一人になれると言っても、暗い空き部屋や非常階段では意味がない。
窮屈なこの校舎から自分を解放してくれる場所──
…そう、屋上だ。
屋上に続く階段を上がり、ドアノブをひねり扉を開ける。
待ち構えるように風が彼女の前髪を巻き上げた。
この時期の秋風はもう冷たく、わざわざ屋外で弁当を食べる物好きは茜の他にはいなかった。
ドサッ
「…よっと」
下に何かを敷くわけでもなく腰を下ろす。
ここがいい
飯を食うにはここが一番だ
そのころ教室では…
「あの群れるのを嫌うところが…チャラい男たちと違って素敵なのよね…///」
「茜さま~っ」
──まさしく一匹狼
女子の胸キュンポイントをまたもや捉えていることに、本人は気がつく様子もないが…。