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《番犬》が女に戻るとき...
第12章 そういうの いらない
茜は階段を駆け降りる。
彼女の頭はパニックなのだろうか──?
2年の階についても降りるのを止めなかった。
「…ハァ…、あっ…!?」
斜め下に見えるのが廊下ではなく下駄箱になった時、ようやく彼女は立ち止まった。
どこまで《逃げている》んだ
「──…ばっ…かじゃねぇの…」
私は逃げ出したのか…負け犬のように。
あの続きを聞くのが怖くて
「──…」
……そう、怖いんだ。
苛つくからだなんてただの言い訳にすぎない。
ギュウウッ......
「いッ‥」
痛い──。
意味もなく荒ぶる呼吸と、痛む胸──
茜はブレザーの胸元を片手で掴み
押さえつけるように強く握った。
眼下には、階段で座りこみダベっている男子生徒が数人いる。
苦しげな茜の目が彼等を睨んだ。
「……っ、そんな所に座りこむな…!! 」
「──? …げッッ‥」
「邪魔になるだろう」
「わ! わりぃ…っ」
彼女の注意をうけて、彼等は早々にその場から立ち去っていった。