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《番犬》が女に戻るとき...
第13章 球技大会 ~汗と鉛と、苛立ちと~

「久藤 茜さんは前へどうぞ♪」
梗子が天使の笑顔で手招きしている。
「マジか…」
普通に嬉しいが、普通に気恥ずかしい。
のろのろと表彰台に上る彼女を盛大な拍手が後押しした。
盛り上がっているのは女子だけだったが…。
「…ま、久藤になるのは当然だよな…。今年の女子は意外性ゼロだ」
「というか番犬が女子枠にいる以前で…」
きゃあきゃあハートが飛び散る中で、そんな陰口も当然ある。
「──…」
それは茜にも聞こえていたが彼女は特に気にしない。男に敵意を抱かれるのは慣れている。
そんな時に、だ
「やったな!久藤ー!」
「さっすが!」
「…ハッ、あいつら…」
4組男子が一斉に声を張り上げて茜を祝したのだ。
茜はこれには驚いた様子で目を丸くした。
五月蝿いな…
しかし自然と笑顔になる。
“ 笑った…っ ”
またしても茜のレア笑顔を見れた男子たちは、小さくガッツポーズしていた。

