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《番犬》が女に戻るとき...
第13章 球技大会 ~汗と鉛と、苛立ちと~

独断と偏見のベストカップル賞だが、今年は全生徒の満場一致だ。

自分の名が呼ばれるより先に…既に前に出だしていた零は、あっという間に表彰台にたどり着く。

マイクを手にした梗子が彼と入れ替わるように台を降りた。


“ 今は顔も見たくないっていうのに…っ ”


──無表情を決め込みながらも、茜の眉間にしわがよる。



自分と顔を合わせようとしない彼女の横顔を見ながら、台に上がった零は身体を屈めて囁いてきた。



「…茜さんの隣は、俺じゃないとね」


「……!!」



な、に、さ、ま、だよ…!


掴みかかりそうになる手を懸命に堪えてジャージのポケットに突っ込む。



「素晴らしい活躍をした二人にもう一度拍手を!」

「わあああ!」

「ピューピュー」


生徒たちの歓声は止むことがない。

ここに、凰鳴高校の最強コンビが誕生した瞬間である。


美男美女、謎に包まれた完璧な二人組。


もしいま携帯を持っていたら写メを撮りまくったのに~

女生徒たちは悶絶する。


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