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《番犬》が女に戻るとき...
第14章 水も滴るイイ女


「──…!」

「…こんなんじゃ駄目なのに…!!」


弱い自分では駄目だ。
私は強くないといけない。


弱ければ大切なものを守れない──。




茜の脳裏に、過去の記憶が甦る。



──…


それは十年以上も前の記憶だ。




『俺に歯向かう気か?』

『やめてー、あなた…っ』


酒の匂いを染み付けた父

暴力を受ける母



『母さんを離してよ!』

『…っ…あ?五月蝿ぇぞチビ!お前はあっちに行っとけよ!』

『茜…っ』


殴る腕に飛び付いても
いとも簡単に払われてしまう。



『お前たち女はな、父親のおかげで生活できてるんだ。そのありがたみを忘れるな!』



あの日の私は弱かった


何も守れていなかったんだ。





──…



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