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《番犬》が女に戻るとき...
第16章 新婚生活 開始!?
「私の家だ」
入れよ
と彼に促して靴を脱いだ茜。
リビング(兼ダイニング)の電気をつけて部屋を確認すると、……うん、ある程度片付いている。
「ここで母と二人暮らしだ。お前の言うとおり父親はいない、離婚したからな」
彼女のその口調は、離れた父親へ全く未練がないことを表していた。
「……」
「…だが母は病気がちでもないし幼い妹もいない。そりゃあ少しは切りつめた生活だが、本当ならバイトしなくても高校の間は十分に生活していける」
「…ならどうして」
「──…聞こえないか」
「?」
聞こえるって──何が?
零が口を閉ざして首を傾けたとき
リビングに直接つづいている隣の部屋から、確かに小さな物音がした。
カリ カリ...
「誰か、いるのかい?」
「…、見ればいいだろ」
二人は、左奥の襖( フスマ )に視線を合わせていた。
奇妙な音はその中から聞こえる。
「…俺、お化けとか信じるタイプだよ?」
茜がそれ以上何も言おうとしないので仕方なし(泣)
零はおそるおそる…
襖をちょっぴり開けて中を覗いた。