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《番犬》が女に戻るとき...
第16章 新婚生活 開始!?
「こんな時はわたしが手料理でふるまってあげられればいいんだけど…、ごめんなさいね。料理は本当に苦手で、娘まかせなの」
「いや、気にしないで下さいお母さん」
「お前もちゃんと否定しろよ!」
零が話を合わせてきたので、おかしな方向に会話が展開していった。
そもそも茜が梗子以外の人間を家に連れてきたことは久しくなく、その相手が男だなんて信じられない。
嬉しくて仕方のない母は好きなように妄想を広げていった。
「安心したわ、ほら…茜ってこんな子でしょう?男の人を毛嫌いしてて、このまま誰ともお付きあいしないつもりかしらって心配してたの…」
「確かにそーですけど、俺にだけ彼女も心を開いてくれましたから」
「うんうん、そーーみたいね♪ 家に連れてきてくれるぐらいだもの~」
“ ちょっと待て待て! 本人をさしおいてどんな会話を繰り広げてるんだよっ ”
「そうじゃないんだ!」
「何~?茜」
「篠田を連れてきたのはバイトの…!!」
「バイトの?」
「……っ」
校則を破ってバイトをしている理由を話すため
しかし、アルバイトが校則違反であることと、それが母が拾ってくる野良猫のせいだということは内緒にしている。
言葉につまった茜はとっさに苦しい嘘をついた。
「バイト先でたまたま会って…っ、篠田がものすごいネコ好きだって話すから」
「え」
「まぁそうなの?」
「そうなんだ(汗) うちのネコをどうしても見たいんだと駄々をこね始めたから仕方がなく連れてきたんだよ」
「‥‥‥」
なんて無理矢理なウソだろう
自分で言って茜はそう感じていた。