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《番犬》が女に戻るとき...
第18章 おちゃらけプリンスの正体
だが…確かにハルクの絵は上手かった。
「それはまだ完成じゃあないの?」
絵を見た女生徒が問いかける。
「Year!もちろんだよ。アカネの魅力はこんなものじゃないさ」
「へ、ヘぇ…そうなんだぁ」
「本当は、髪をおろしたところを描きたかったけどね」
「…そ、っ──久藤さんの黒髪綺麗だものね!」
「……相手にしなくていいぞ(汗)」
ハルクと女生徒の会話を聞いていられなくなり
ほうっておけと茜は女生徒に言った。
「そんなに誉めてほしいなら私ではなく先生に見せてこい」
「それもっそうね」
「僕はアカネのために描いたんだよ。アカネ以外に誉められたってノーセンキュー」
「…っ、だそうよ、久藤さん」
「ハァ…」
間に入った彼女が可哀想な立場になっていた。
仕方がない
茜が溜め息とともに椅子の向きを変える。
「気付けよ転校生!彼女が対応に困っているのがわからないのか?」
「アカネ…」
「お前のその…っ 変なテンションにみんなついていけないんだよ。とくに私は、な!」
「……」
シュン‥
“ 少しはこたえたのか? ”
やっと静かになったハルクを横目で確認し、彼女は自分のデッサンに再び鉛筆をたてた。