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《番犬》が女に戻るとき...
第3章 天敵現る
「…人気者だな」
「そー、みたいだね」
一瞬にして取り囲まれた零を前に、笑った茜
「──…」
「っ…、茜さん…」
零だけを見ていた彼女たちは、そこで息を呑んで茜に視線を移した。
“ いまの…見た?”
“見た、よくわかんないけどゾクッとしちゃう…”
零に向けた彼女の皮肉げな笑みが
ナゼか女生徒の乙女心を掴んでしまったみたい。
「──あっ茜さんも来ませんか!?」
「そ、それいい! 久藤さんも歓迎会に来てほしい、っていうか来てください…ッ///」
「──は?」
突然の提案に
素のままのあきれ声で返した茜。
「…は、…ッ、いや、──ん? ……なんで…私がこの男の歓迎会に行くんだ?」
「だってほら…っ、人数は多い方が盛り上がりますし…!! ね?ねぇ!?」
「…そうよっ、そうですよ! 来てくださいよ久藤さん、篠田くんのためにっ」
…完全に零のためではなく、彼女たち自身のためになっているのだけれど
「ふぅん…、君、来てくれるの」
零は茜の顔を覗きこんだ。
「あ ・ か・ ね 、さん」
「………ダレガイクカ」
彼が名を呼ぶと、女生徒の見ていない角度でものすっごく怖い目付きで睨まれる。
茜は歓迎会に行く気はない。
「…とにかく、私は歓迎会には…」
「行きましょ~よ~!」
「クラスも違う私が行ってもだな…」
「行きましょう!!」
「…っ…すまないが…わ」
「行ーきーまーしょー!!!」
「……ッ…───、─ハァ」
恋する乙女
恐るべし──。