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《番犬》が女に戻るとき...
第20章 暴かれる
彼の情報収集能力を舐めてはいけない。
「…ならさ、青崎のお山の大将サン」
お山の大将──格下クンの別名。
「凰鳴でも同じようにする気? 」
これだけは聞いておかないといけない
この高校には 茜がいるのだから──。
答えによっては、ハルクは零のなかで排除の対象になりうる。
ハルクは制服のポケットから大きな飴玉を取り出して、包み紙をあけながら話し続けた。
「安心してよ。どんなゲームも、全く同じストーリーをもう一度クリアしても楽しくないじゃん? 」
「なら次のストーリーを教えて」
「フフッ…いいよ」
緑色のそれはメロン味
ハルクは飴を口にほうり込む。
「キーパーソンは、アカネ」
「──…!」
「新しいゲームを攻略するには彼女が必要だ」
力を使った支配は、青崎で攻略した。
彼が思いついた次なる遊びを始めるために、誰よりも強い茜の存在が不可欠だった。
そして零が邪魔だったのだ。
「──…」
ハルクの答えをうけて
零の眉が僅かにだが反応した。
“ ──そうか、なら ”
「君を《敵》だと、思ってあげる」
彼が敵と定めたのは、目の前に立つふざけたイギリス人。そしてその後ろで威嚇してくる、危険な二人の男たち──
まずはあっちとけりをつける。
手前のお山の大将とは
後でゆっくり話してやるさ──。
「──…? ‥、あ」
前足で地面のアスファルトを踏み締めた零
しかし彼の視線がスーツ男から移った。
“ 来ちゃったじゃん ”
路地に駐車された黒い高級車の、その横から零たちを見詰める制服姿の女。
「…ッ! ──アカネ?」
零の異変に気付き、振り返ったハルクも動揺していた。