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《番犬》が女に戻るとき...
第20章 暴かれる
ハルクも彼等につづいて車に乗り込もうとする。
「待て!話はまだ終わっていない」
そうはさせるかと茜が間に割り込んで、そしてハルクの襟元を掴んだ。
「はぐらかす気か…っ」
「離しなよ」
興ざめしたハルクは彼女の手に目をやる。
本当なら部下に命じて相手を引き剥がすところだが女に手は出さない。
「怒っているのアカネ? ──…僕が何を企んでいたとしても、キミがしていることと大差ないと感じるのは僕だけかい? 」
「…っ」
「凰鳴の男子生徒を暴力での恐怖で大人しくさせているのはアカネじゃないのかい」
「……!!」
「…その怒りは、お門違いだ」
ハルクを睨みあげていた目の鋭さが
その一瞬で弱くなった。
“ 私が、暴力で……!? ”
「そんな事はない!私はあいつらに暴力なんて…」
ある、一度だけ
「責めるつもりじゃないさ。僕はキミの強さを本当に尊敬している」
「……やめろ」
「認めたからこそ利用しようとしたんだ」
茜は固まった。
この男の整った顔を全力でぶん殴りたい衝動が彼女を襲う。
だがそれでは負ける…
こいつの言葉を認めることになる…
彼女は必死にこらえる。