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《番犬》が女に戻るとき...
第23章 夢を語る瞳
『それに、日本に着いたところでどうやって生活する気なの、おじさん。あの身代金の額なら飛行機代でなくなっちゃうよ。…何か目的でもあるの?』
『安心しろ、俺は料理人だ。この腕とこの包丁一本で……生きのびてやるさ』
『──…』
『ほら綺麗だろう? これは日本の職人の手作りだ。この包丁から生まれる繊細な味に…オレは惚れちまったんだよ』
『……生き生きしてるね、おじさん』
『…へっ、お前は若いくせに落ち着き払って…変わった奴だなぁ。でっかい夢もってなんぼだぞ?子供のうちは』
『夢なんてないよ。それに…俺に期待する大人だってひとりもいないんだ』
『──…!』
『そういう意味では、おじさんの要求した額は妥当だったね。あのくらいならきっと父さんも払ってくれるさ』
『…よく…わからないが。何か複雑な家庭事情かかえてんなぁ……お前』
『まぁネ』
『…なんならお前も俺と来るか? 俺みたいに能天気なバカとなら、日本で気楽に生きていけるぞ』
『…!』
『飯食っていける保障はないけどな!ハハハ…』
……───