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《番犬》が女に戻るとき...
第25章 みとめない!
こっちに向かって走っているのはアカネ…
non、鬼だ。鬼だろあれ。
「……ッ」
殺さ、れ、る
「離して、キョウコ…」
「…?」
怯えるハルクだが、茜の頭から伸びた2本の角は、どうやら梗子には見えないらしい。
むしろ、この困った状況での茜の登場を喜んでいる。
ゴゴゴゴ
「茜ちゃーん、どうしたのー?」
まだ距離のある彼女に向かって梗子が叫んだ。
「…ッ…ちょ、不味い…っ」
「…え?」
身の危険しか感じないハルクは
咄嗟に梗子を背中に庇う。
──茜の狙いは自分だけだと、頭ではわかっているつもりなのだが。
「アカネ…っ、落ち着こうか…」
いよいよ距離が短くなった
「…」
「別に僕は…まだ、何も…!!」
「…まだ、だと?」
茜の勢いは止まらない。
彼女から放たれる鋭いオーラは…まさに殺気そのものだろう。
「──…!」
ハルクの背後から茜の目を見た梗子も、やっとその空気を感じ取った。
“ 茜ちゃん…!? ”
今の茜の、あの目付き──
梗子はそれを知っている。
「ハルクお前…!! 花崎さんに何の用だ!」
「……ッッ」
右手に紙袋を持つ茜は
空いている左手を、胸の横に低く構え
スピードを緩めずに拳を握った
「──ダメよ茜ちゃん!」