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『うぅ』としか鳴けない
第15章 結婚への道のり〜葛藤〜
部屋から一歩も出ない灯子。

訳も知らされず、うろたえる母。

主への憎悪にやり場のない父。

三人の思いがバラバラになった屋敷は、今の季節以上に寒く凍えていた。



主に連絡する術のない灯子。しかし、主への思いが変わるはずもなく……


『お食事でございます。お嬢様、お話があります、開けてください。』

小声で話しかけてきたシェフ。


『何かしら、食べる気分じゃ……あっ!』

『はい。わたくしが、金崎様に御伝言致します。明日、こちらで、商談がございます。その時、また伺いますので。』

『ありがとう(泣)ありがとう、お願いね(泣)』

『はい、では。』


主のところで、出くわした、あのシェフだった。
もう、今となっては、彼と私を繋ぐ鍵はシェフ一人であった。



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