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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第15章 第四話【花笑み】 《其の壱》
草紙屋に並ぶやいなや、この双六はあっという間に売り切れ、今や版元は急きょ、増刷中だという。やはり、これを買う客の大半は女性、しかも妙齢の若い娘が多いとのことであった。これは、美空の辿った数奇な生涯が、誰しもが憧れる玉の輿であるからに他ならない。
だが、当の美空にとっては、格別に我が身が変わったとも立身したとも思わない。ただ愛する良人の傍にいたい―、その一念がして美空をこの江戸城大奥まで引き寄せたのだ。