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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第15章 第四話【花笑み】 《其の壱》
正直、あの権高で冷淡な姑と離れることができたことにはホッとしている。それは口には出さずとも、孝俊も同様だろう。宥松院はかつて孝俊の生母おゆりの方に良人の寵愛を奪われたとして、おゆりの方だけでなく孝俊をも心底憎んでいた。生母を喪い、幼くして手許に引き取った孝俊を事ある毎に継子苛めしていたのだ。そんな義母であってみれば、こうして離れて暮らすことになったのは、美空や孝俊だけでなく、宥松院にとっても互いにとって心穏やかに暮らせる道であったのではないかとも思う。