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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第15章 第四話【花笑み】 《其の壱》
「それに、御台さま。この際はきと申し上げれば、役者遊びをするまでゆかずとも、気に入りの役者に熱を上げ、錦絵を後生大事に隠し持つ程度のことまで、何ゆえ、ならぬと仰せなのでございましょうや。一生奉公といえば、生涯殿方にも嫁がず、女の歓びも幸せも一切知らずに終わるものにござります。好いた惚れたの心も何たるかを知らず、ただ公方さまを第一に忠勤を励んで一生を終わる―、もとより、それは自らの選びし道なれば、いささかの悔いもござりませぬが、さりとて、何の歓びも愉しみも知らずでは、あまりに哀れ。