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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第16章 第四話【花笑み】 《其の弐》
 美空は笑った。
「礼を申すも何も、私は別に何もしたわけではない。第一、そなたはまだ頼み事一つしておらぬではないか」
 優しく言い諭され、智島は小さく頷いた。
「矢代(やしろ)という者がこの大奥にて御客(おんきやく)会釈(あしらい)としてお仕え致しておりまする。話と申すのは、その矢代の一身上のことにて」
「一身上のこととは、また何とも大仰な物言いじゃな。一体、その矢代なる者が何を致したというのか」
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