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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第16章 第四話【花笑み】 《其の弐》

「はい、私には、いかにしても信じられないのでございます。矢代は十四の歳で御年寄永瀬さまの部屋子としてご奉公に上がり、御三の間、ご中﨟、お次と昇格して既に九年、本来であれば、先代の公方さまがご薨去の砌、永のお暇を頂いて実家(さと)方に下がるはずであったところ、特に永瀬さまのお声がかりで引き続き大奥にご奉公することになったそうにござります。優しい気性、しかも眉目も麗しいゆえ、一度は先の公方さまのお眼に止まり、ご側室にというお話もあったほどの者にございます」

