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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第18章 第四話【花笑み】 《其の四》
美空は眼を見開き、ゆっくりと声の主を振り返り、唇を綻ばせた。
今日の美空は涼しげな水浅葱色の打掛を身に纏っている。身頃から裾に藤や牡丹、菖蒲などの春の花が描かれ、その間に扇面が散っている。扇面は金糸、銀糸の縫い取りだ。
下に合わせた小袖は、はんなりとした桜色。
家俊が眼を細めたのは、恐らく、水面で揺れる光のせいだけではないだろう。この美しい彼の妻は、結婚して五年経った今でも、彼を魅了してやまない。