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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第2章 《其の壱》
男の口許が綻ぶ。
「そのように気にすることはありませんよ。この品は、あなたが思っているほどの値打ち物ではないのです。私のような、しがない行商人に買うのを躊躇うような、そんな高価な品物は扱えません」
美空を馬鹿にしている風でもなく、淡々と説明する男の口調はどこまでも穏やかだ。しかし、美空はつい叫ぶように言ってしまった。
「普通の人なら、そうなのかもしれませんけれど、私にとっては、その櫛だって手が届かないような高級品なんです!!」