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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第18章 第四話【花笑み】 《其の四》
美空にとっては、市助もまた矢代と同じ想いであった、ただそのことだけがせめてもの慰めであった。たとえその身は高遠と八丈に遠く離れても、二人の心は常に寄り添っていたに違いない。市助がどこかで生きていると思うからこそ、矢代は高遠での辛い幽閉生活にも耐え続けられたのだ。しかし、市助がこの世におらぬことを知った時、矢代の生きる意味もまた消えてしまったのだろう。
矢代の死は覚悟の上の自害とされ、白装束に身を固め懐剣で喉をひと突きという実に見事なものであった。
矢代の死は覚悟の上の自害とされ、白装束に身を固め懐剣で喉をひと突きという実に見事なものであった。