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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第3章 《其の弐》
 少し前方に山茶花の樹が植わっている。鮮やかな桃色の花を幾つもつけた緑の茂みが冬枯れの風景の中、そこだけ際立って見えた。空高く頭上で百舌の鳴き声が張りつめた静寂を引き裂くように甲高く響く。
「何故、そんなことを訊くんだ?」
 真摯な瞳に見つめられ、美空は返答に窮し、黙り込む。小さく深呼吸して、ありったけの勇気をかき集めて応える。
「あの時、孝太郎さんがとても熱心に祈っていたので、何をお願いしているのか―、誰か好きな人のことを願っているのかと」
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