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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第4章 《其の参》
 戻ってくるのは大抵は夕刻で、良人の留守中、美空は長屋で仕立物の内職に精を出した。陽暮れ刻に戻ってきた孝太郎と共に夕餉を取る。孝太郎は町に出ている間に出くわしたこと、見聞きしたものについて教えてはくれたが、自分の商売については殆ど話すことはなかった。
 美空は良人の家族や家についてと同様、孝太郎が喋りたがらないことを無理に訊き出そうとはせず、夫婦二人だけの暮らしは慎ましくも穏やかで満ち足りたものだった。
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