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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第2章 《其の壱》
 幾億もの夜を集めたような瞳は漆黒で、そのまなざしは深い。役者といっても通りそうなほど造作の整った面は精悍さを滲ませながらも、どこかに品の良さを窺わせた。
 美空は、けしてあの櫛を欲しかったわけではない。否、むしろ、男の顔に見惚れていた己れをごまかすために、つい、櫛に見入っていたのだと咄嗟に出まかせを言ったのだ。
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