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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第4章 《其の参》
だが、お民の福々とした頬は赤々と健康そうに輝いており、亭主の兵吉が小柄で貧相なのに比べて、倍ほども横も縦も大きい。長屋の連中―口の悪い左官の源治などはそのあまりにも違いすぎる夫婦を見ては、
―兵さんのところは女房が一人で飯を食い尽くしてるんじゃねえか。
と、冗談で言う。
もっとも、当の源治にしろ他の連中にしろ、お民がそんな女ではなく、口では亭主に悪態をつきながらも兵吉をとても大切にしているのを知っているのだけれど。