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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第5章 《其の四》
「正式な名は徳川勇俊。俺の父は尾張一国を預かる親藩の大名であり、今の将軍家友公は俺の父とは血続きになる人だ」
「―嘘」
 唇が、戦慄(わなな)く。
 自分の良人が尾張藩主の嫡子で、千代田のお城にお住まいの公方さまが良人の親戚だなんて、そんなことが現実にあり得るはずがない。
 そう、これはすべて嘘だ。この人が私をいつものようにからかっているだけ。
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