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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第5章 《其の四》
「では、そのお兄さまが跡目をお継ぎになられれば良いじゃない」
 我ながら悲鳴のような声が出た。
 孝太郎は哀しげな眼で美空を見る。
「兄上は亡くなられたよ、もう三年も前のことだ。その時、息を引き取る間際、兄上に俺は約束した。もし父上が亡くなられるようなことがあれば、俺は城に戻って次の尾張藩主となると」
 孝太郎はそれから淡々と語った。
 正室腹の異母兄と違って、側室の生んだ次男の公子である孝太郎は、常に孤立していた。
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