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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第5章 《其の四》
武士の棟梁たる将軍家を支える御三家の筆頭尾張徳川家の第二子として生まれながら、継母に憎まれ、虐げられて育った孝太郎。
それは、十六で家を国を、尾張家の公子という立場をもすべて捨てさせるほどの苛酷なものだった―。
しかし、当の孝太郎はまるで他人事のような口調で話している。その感情の読めぬ瞳や抑揚のない話しぶりは、かえって彼の味わってきた心の葛藤の重さ、烈しさを窺わせる。
遠い眼で己れの生い立ちを明かす孝太郎の横顔を、美空は痛ましい想いで見つめた。
それは、十六で家を国を、尾張家の公子という立場をもすべて捨てさせるほどの苛酷なものだった―。
しかし、当の孝太郎はまるで他人事のような口調で話している。その感情の読めぬ瞳や抑揚のない話しぶりは、かえって彼の味わってきた心の葛藤の重さ、烈しさを窺わせる。
遠い眼で己れの生い立ちを明かす孝太郎の横顔を、美空は痛ましい想いで見つめた。