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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第5章 《其の四》
 今、漸く一つの疑念が解けた。
―玉ゆらに 昨日の夕 見しものを 今日の朝に 恋ふべきものか
 孝太郎から初めてあの歌を聞かされた時、何ゆえ、一介の小間物売りにすぎない彼が万葉集や柿本人麻呂などという、いかにも難しげな歌集や人の名を知っているのだろうと訝しく思ったけれど―、殿さま、尾張藩主の公子であれば、その程度の教養を備えているのは当然のことだ。
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