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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第2章 《其の壱》
 栄次郎の人気が凄いのは若い娘たちだけでなく、これまでは役者には見向きもしなかった中年増以上―つまるところ、その娘たちの母親層の年代の女たちまでを虜にしているところだ。
 わずかに眦(まなじり)がつり上がった眼許には、そこはかとない男の色香が溢れているといわれ、栄次郎がまなざし一つを動かしただけで、良い歳をした女房たちが溜息どころか失神さえしかねないほどの、のぼせようだと聞く。
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