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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第5章 《其の四》
孝信公が逝去した今、正式な披露目はまだでも、孝太郎は既に事実上は尾張藩主としての立場にある。たまには上屋敷の方に顔を出さねばならないのだと言っていたけれど、この二日間のあいだに、孝太郎がそちらへ行ったのかどうかは美空には見当もつかなかった。孝信公の葬儀は当然ながら、江戸の藩邸ではなく国許の名古屋城で行われる。
その時、手前からお民が大きな身体を揺すりながらやってくるのが見えた。歩いているように見えるが、どうやら本人は走っているつもりらしい。
その時、手前からお民が大きな身体を揺すりながらやってくるのが見えた。歩いているように見えるが、どうやら本人は走っているつもりらしい。