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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第5章 《其の四》
 徳平店の住人たちは、ついぞお眼にかかることのないような貴人用の駕籠を固唾を呑んで見守っている。
 それまで孝太郎と美空が暮らしていた家の障子戸が静かに開いた。きらびやかな打掛姿の美空が美しく髪を結い上げて姿を現した刹那、道の両側に居並んで一部始終を眺めていた住人たちからホウと感嘆の溜息が洩れる。
 その中に混じりながら、お民はこれで、この幼いときからよく見知っている娘が自分たちの手の届かない遠い場所に行ってしまうのだと痛感していた。
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