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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第7章 第二話【烏瓜~からすうり~】《其の壱》
老女唐橋を先頭にした集団は十人ばかりはいるだろうか、美空と智島主従の姿が見えぬはずはないのに、まる宙を見るような顔でしずしずと歩いてくる。
唐橋は孝俊には継母に当たる宥松院付きである。同時に奥向きの奥女中たちを束ね監督する侍女頭の地位も兼ねており、智島の務める中老というのは老女の次の役職である。五十二になる宥松院よりは数歳若いと云われ、宥松院が京から嫁いできた際に付き従ってきた侍女であった。