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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第7章 第二話【烏瓜~からすうり~】《其の壱》
 これは諸大名に幕府が課したもので、大名は定期的に居城のある国許と江戸を行き来せねばならない。正室と嫡子は江戸にとどめおかれ、国許に同伴することは許されず、これは要するに大名から幕府が〝人質〟を取るも同然の行為だ。妻子を人質に取られている限り、大名が幕府に対して叛意を持つことはないからというのがその大本の考えである。
 むろん、正室である美空は孝俊に付いて尾張に帰ることは許されない立場であった。それは嫡子徳千代も同然であった。
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