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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第2章 《其の壱》
美空はひたすら、父の帰宅が遅いのを訝ることもなかった我が身を責めた。せめて、あの時、自分が探しにゆけば、父は死ぬことはなかったかもしれない。医者の話によれば、父の生命を奪ったのは寒さではなく、頭部の怪我だというのだから、たとえ、美空が父を見つけていたとしても遅かれ早かれ、父は亡くなっていたはずだ。
が、美空は、そのように理詰めで考えることはできなかった。父をむざと死なせてしまったことは、今でも美空の心に大きな傷痕を残している。