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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第7章 第二話【烏瓜~からすうり~】《其の壱》
抱き寄せられ、そっと耳許でただひと言、
〝済まぬ〟と囁かれた時、美空は、たまらず泣いてしまった。それまでこらえにこらえていたものが堰を切ったように溢れ出し、孝俊の胸に顔を埋めて烈しく泣きじゃくった。
―俺に付いてきたばかりに、そなたには無用の苦労をさせるな。
孝俊は美空の背を撫でながら、そう言った。
孝俊は優しい。それは小間物屋の孝太郎であった頃と何ら変わってはいない。その時、美空は確信した。