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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第8章 【烏瓜~からすうり~】 《其の弐》
もっとも、美空当人にとっては、このことはさほどの問題ではない。何しろ、幸か不幸か、美空は市井で生まれ育った身だ。自分のことは全部自分でするのはごく当然のことと思ってきた。むしろ、一々、何をするにもお付きの女中の手を借りて行うという高貴な女人の暮らしというのに今一つ馴染めない。
愕いたことに、深窓の婦人というものは厠へゆくのにまで他人の手を借りるらしい。これには美空も最初は愕いた。厠の中にまで入ってこようとする侍女を説き伏せ、外で待つようにと頼んだほどだ。
愕いたことに、深窓の婦人というものは厠へゆくのにまで他人の手を借りるらしい。これには美空も最初は愕いた。厠の中にまで入ってこようとする侍女を説き伏せ、外で待つようにと頼んだほどだ。