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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第8章 【烏瓜~からすうり~】 《其の弐》
自分一人で容易くできることに何故、他人の手を患わせるのか―そんなしきたりに違和感を憶えつつも、それが大名家のしきたりであるというのであれば、慣れなければならない。美空にとっては上屋敷での生活は、何もかもが愕きと戸惑いの連続であった。
美空が幾重にも曲がった廊下を歩いていたときのこと、ふいに女たちの賑やかな話し声が耳に飛び込んできた。
「宥松院さまは、こたびのことでたいそうなお怒りだそうにございますよ」